オンラインサロンの運営支援を行うプラットホーム事業「FANTS」と社内コミュニケーションを向上させるプラットホーム事業「TUNAG」を手掛ける株式会社スタメン(4019)をご存知ですか?
今回はそんな株式会社スタメンの事業内容の解説と将来性について解説していきます。
株式会社スタメン(4019)の事業内容と将来性
今回は、12月15日に東証マザーズ市場に株式新規公開(IPO)予定のスタメン(4019)についてご紹介します。スタメンは人事領域などのプラットフォームを手掛けており、気になる事業内容と将来性について紹介したいと思います。
スタメン(4019)の事業内容
社名の「スタメン」は「個性や強みが異なるメンバーが、同じ方向を向いて、仲間とともに成長し、目標を達成していくことで強いチームになっていく会社を創りたい」との加藤厚史社長の思いからスタートし、「一人一人が輝く会社=スターメンバーズ」を略してスタメンという社名がつけられています。
スタメンは、2つのサービスをSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形式で提供しています。
FANTS事業の強みと弱み
1つめは、2020年5月からサービスを開始したオンラインサロンの運営を支援するプラットフォームの「FANTS(ファンツ)」です。プロスポーツチームやアーティストなどがサブスクリプション(継続課金型)型のオンラインファンサロンを手軽に運営出来ます。
強みとしてファンサロンの運営に必要な会員システムや決済システム、サロン専用アプリ、利用状況の分析ツールなどの必要な機能をすべてワンストップで提供している点です。
また専任プロデューサーによるサポートも受けることが出来るので、サロン運営の経験やノウハウがなくても必要な意思決定をするだけでサロンの運営が出来ます。
弱みとしてオンラインサロンの運営サポートというニーズは今後伸びると思われますが、サービスの立ち上がりから1年経っておらず、顧客基盤が未成熟である点が挙げられます。
TUNAG事業の強みと弱み
もう1つは、主力のエンゲージメント経営プラットフォームの「TUNAG(ツナグ)」です。
TUNAGは、「社内制度」を軸としたコミュニケーションを促進させ、会社と従業員、従業員同士の信頼関係の構築を支援するツールです。スタメンはツールの提供だけでなく企業や組織の課題抽出・施策設計からツール導入や定期的なフォローといった運用支援までを一貫して提供しています。
ツールの導入時は、スタメンの担当者による従業員への導入説明会の実施やその後のフォロー体制もしっかりしています。従業員の自発的な利用を促すためのコンテンツも充実しています。
TUNAGの強みのコミュニケーションの向上への仕組みの「社内制度」を自由に設計できる点です。
例えばある企業では帰宅時のコミュニケーション促進のための「オツカレサマ制度」という報告の社内制度を作成しています。
この他、感謝の気持ちを送りあう「サンクスメッセージ」や社長・会社からのメッセージシステムにより、経営陣の思いなどを知ることが出来ます。また、タイムライン機能は社内の見えない「動き」を知ることが出来ます。
このようなこれまでリアルのやりとりだったコミュニケーションや従業員のプラットフォーム上の利用データは蓄積され、必要に応じて専任のコンサルタントによる分析や助言を受けることが出来ます。
弱みは、TUNAGが属する人事領域のクラウドサービスでは、大企業や中小企業の規模を問わず、新規参入が増えており、競合の企業やサービスが増えつづけている点です。そのため価格競争による収益の影響や新サービスへの投資の継続が必要になる点には留意が必要です。
スタメン(4019)の将来性
スタメンの今後の将来性について課題や競合などポイントになりそうな部分についてまとめました。
スタメン(4019)の課題
スタメンの提供するSaaSサービスは、顧客の新規獲得を拡大し、顧客満足度を向上させて、解約率を下げることにより、継続的な収益(ストック型収入)を積み上げるビジネスモデルです。スタメンでは、新規契約の多くを営業スタッフによる架電による勧誘や既存顧客からの紹介で増やしています。そのためWebマーケティングや代理店などパートナーによる顧客開拓の強化が課題となりそうです。また、解約率の低下のため新たなサービスの開発やインターネットの新たな技術への対応などの投資の継続による顧客満足度の向上もポイントとなります。
スタメン(4019)の競合他社について
人事領域のクラウドサービスでは、オウケイウェイヴ(3088)、カオナビ(4435)、シンクスマイル、エモーションテックなどが競合となります。
スタメン(4019)の今後注目すべき部分
同社はSaaS形式でサービスを提供するため、毎月継続的に収益が上がるストック型収入の比率が2020年9月末時点でおよそ9割以上となっています。主力サービスのTUNAGの属するHRテックの分野は今後成長が見込まれています。HRテックとは「Human Resources(人的資源)」「テクノロジー」をかけ合わせた造語です。
働き方改革による人材の流動化や人手不足やテクノロジーの進化により、これまで企業の中でも導入が比較的遅れてきた人事領域のデジタル化、HRテックの需要が伸びています。
HRテック市場 Tech市場は育成・定着系、採用管理系、人事・配置系、労務管理系の4つの領域に区分されます。TUNAGは育成、人事、労務管理、採用といった顧客側で導入されている人事領域のサービスとは直接競合せずかつ連携する形で導入を推進することができると同社は捉えています。
【まとめ】 株式会社スタメン(4019)について
スタメンはエンゲージメント経営を支援するTUNAGを軸に高成長を続けています。
デロイトトーマツグループが発表した「2020年 日本テクノロジー Fast50」で1位を受賞しました。HRテックの分野は先行きへの期待も新規参入も多く、今後もサービスの競争が懸念されるものの、働き方改革や優秀な人材確保の必要性から今後もさらに伸びが見込めると予想され、業界の伸びによる業績拡大が期待されます。