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(4055)ティアンドエス株式会社が2021年の最注目銘柄と考える理由

2020年はコロナ禍においても、多くの企業が上場した。

そのなかで、IM編集部として一推しの銘柄が4055・ティアンドエス株式会社だ。

何度か取り上げているが、やはり次世代半導体メモリの開発状況次第で大きく化ける可能性がある。

注目したいのはこちらのレポート。

日本証券アナリスト協会認定会員の黒澤真氏によるレポートだ。

今回の記事では、このレポートも踏まえ、同社の将来性を見抜く上で、絶対に抑えておくべきポイントを紹介する。

次世代半導体メモリ事業がとんでもない将来性を秘めていることをまず掴むべき

まず、この次世代半導体メモリの業界についておおまかに理解しておく必要がある。

いまや多くの電化製品に半導体メモリが組み込まれている。現行のメモリはDRAM、SRAM、フラッシュメモリと呼ばれるものが主流だ。

これらは揮発性のメモリである。

この場合、揮発性とは「電源を供給しておかないと記録を保持できない」という意味で使われる。

例えば、パソコンの主電源を落とすと、それまで作成していたデータが消えたりする。これは使用されるメモリが揮発性だからだ。

そこで、いま注目されているのが不揮発性のメモリだ。

不揮発性というのは「電源を供給しなくても記録を保持できる」という性質のこと。

すなわち、電化製品がより少ない電力で、現在の機能を維持したまま使用できることになる。

一方で、これまで不揮発性メモリには難点があった。速度が遅い、ということである。

この速度の遅さをカバーしはじめたのが「次世代不揮発性メモリ」と呼ばれる群だ。

まずはここまでをしっかりと抑えておこう。

次世代不揮発性メモリ群は、グローバル規模で各社が開発のしのぎを削っている状況だ。

速度が維持できて、消費電力を抑えることができれば

  • 省エネ効果
  • 複雑な電化製品の実現(自動運転、AI関連技術)

に結びつく。

特に省エネ効果に関しては、次世代不揮発性メモリの省エネ効果は従来のメモリの1/100程度にまでなると言われており、まさにエネルギー業界にパラダイムシフトが起こる革命的な発明になりうるのだ。

そうした次世代不揮発性メモリ開発レースの中で、一歩リードしているとみられるのが、東北大学とティアンドエスチームなのだ。

東北大学とティアンドエスチームが勝ちそうな雰囲気を放っている理由

東北大学の2020年6月のプレスリリースは特に重要だ。

STT-MRAMの車載応用を可能にする高速かつ高信頼な微細磁気トンネル接合(MTJ)素子の実証動作に成功 ~IoT・AI分野から車載分野までのSTT-MRAMの応用領域拡大に道を拓く~

ポイントを抜粋引用すると

  • 界面磁気異方性を増加させる4重界面磁気トンネル接合素子(Quad-MTJ)において、STT-MRAMとして必要な高速動作実証とデータ書き換え信頼性の確認に世界で初めて成功
  • 4重界面磁気トンネル接合素子(Quad-MTJ)の材料・デバイス技術の開発により、工業製品化されている従来の2重界面磁気トンネル接合素子(Double-MTJ)では困難であった車載スペックでの10年以上のデータ保持特性を維持しながら、1)10ナノ秒(ns)の高速書き込み動作と、2)21%の低消費電力動作と、3)1011回以上の高書込み耐性の同時達成を世界で初めて実証
  • データ保持vs.高速動作vs.ローパワー動作vs.高書き換え耐性のジレンマを解決し、STT-MRAMの応用領域をローエンド(IoT等)市場からハイエンド(AI等)市場までの拡大に道筋

と書かれている。

要約すると、「不揮発性メモリとしてのデータ保持性を維持しつつ、高速化することに世界で初めて成功した」ということだ。

明らかに一歩リードだ。

そして次に注目すべきが、当サイトでも取り上げたティアンドエスのリリースだ。

その記事がこちら

改めて要約すると、「消費電力を1/100以下にする技術を量産化するために必要な準備を、経産省からお金をもらってやります」ということが発表されたわけだ。

リリースの位置づけとしては、「サポイン事業」という経産省主催の補助金事業として採択されたことを知らせる内容なのだが、そのサポイン事業は「事業化に資するための事業」である必要がある。

今回ティアンドエスと東北大は3年間補助金を受けることとなる。

3年間の間になんらかの進捗があることを期待してもよいのではないだろうか。

逆にいえば、そういう期待感があるからこそ、サポイン事業として認可されたとも推測できる。

次世代不揮発性メモリの市場はいずれかのタイミングで爆発的に伸びる

次に、この次世代不揮発性メモリの市場についてだ。

端的にいえば、パソコン、スマホ、カメラ、テレビ、などなど、身の回りにある全ての電化製品の消費電力が下がる可能性がある。

それだけでとてつもない市場規模になることがわかるだろう。

さらには、消費電力が下がることにより高度な演算処理が求められる自動運転車の実現や、8Kテレビの実現、さらには太陽光で充電できる充電不要のスマホまで実現できてしまうかもしれないわけだ。

逆にこの特性を活かして、いままで不可能と思われていた技術が実現し始めるかもしれない。

以下のような記事もある。

MRAMの市場規模、2024年には2018年の40倍へと急伸

こういった明確な超成長産業に属するベンチャー企業もそう多くない。

2021年はティアンドエス株式会社から目が離せない。