今回は2020年12月17日に東証マザーズにIPO(新規上場)する「株式会社プレイド(4165)」を紹介します!
ご存知の方も一部いるかもしれませんが、この記事では株式会社プレイドを知らない人でも理解できるよう、有価証券報告書の内容などをもとに、わかりやすく解説していきます。
株式会社プレイド(4165)ってどんな会社?
株式会社プレイドは、CX(顧客体験価値:カスタマー・エクスペリエンス)プラットフォーム「KARTE」を主力として事業を展開する会社です。以降では次のポイントを簡単に解説します。
- 会社概要
- 代表取締役CEOの経歴
- Googleや行政機関からも認められている
会社概要
下表に2019年9月期(設立第8期)時点の情報会社概要をまとめました。
会社名 | 株式会社プレイド(PLAID, Inc.) |
---|---|
代表者 | 倉橋 健太 |
所在地 | 〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 10F |
設立年月 | 2011年10月 |
事業内容 | CXプラットフォーム「KARTE」の開発・運営 |
ミッション | データによって人の価値を最大化する |
従業員数 | 190人 ※2020年9月30日時点 |
平均年齢 | 33.0歳 ※2020年9月30日時点 |
平均勤続年数 | 2.1年 ※2020年9月30日時点 |
平均年間給与 | 887.1万円 ※2020年9月30日時点 |
「会社概要|PLAID」
「新規上場申請のための有価証券報告書」
上記2資料をもとにIM編集部作成
一言で表すなら、Webやアプリに組み込んで顧客体験価値の向上を図るCXプラットフォーム「KARTE」を運営するBtoB企業です。
株式会社プレイドは、「KARTE」1つで新規上場まで果たしたといっても過言ではなく、事業セグメントも「SaaS事業」のみです。ちなみにSaaSとは「サース」と呼ばれている「クラウドで提供されるソフトウェア」のことです。
代表取締役CEOの経歴
代表取締役CEOの倉橋さんは同志社大学卒業後、楽天に新卒入社し楽天市場のサイトディレクション、マーケティング、広告戦略などWebマーケティングに関わる事業を担当していた経歴があります。
実は、倉橋さんは株式会社プレイドの創業前に飲食系アプリをリリースしましたが、創業1年目で事業撤退した過去を持っています。
その後、現在株式会社プレイドのCPOである柴山さんと新大久保のタイ料理屋で出会ったことをきっかけに「KARTE構想」へつながったといわれています。
参考:事業撤退を経て。『KARTE』リリースまでの3年間|PLAID(プレイド)倉橋健太|キャリアハック(エン・ジャパン)
Googleや行政機関からも認められている
2019年11月には第三者割当増資の形でGoogleから資金調達を受けており、2020年7月には中小企業庁の補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」に「KARTE」が導入されました。
参考:中小企業庁が補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」にKARTEを導入 〜KARTEにより、ユーザーに寄り添うためのDXを加速〜|PLAID
第三者割当増資は、会社が発行する新規株式を第三者に引き受けてもらうことで資金調達するものですが、一般的にベンチャーキャピタルや銀行などが出資します。
Googleが出資したということは、少なくとも実態として株式取得による経営権の獲得に動いているもしくはキャピタルゲインを狙っていることが考えられます。つまりGoogleが株式会社プレイドの将来性を認めていると言っても良いでしょう。
中小企業庁のサイトにも導入されたことで、官民問わずデジタルトランスフォーメーションの流れに乗じていると言えるでしょう。実際、中小企業庁の関係者は「行政のDXの一環」とコメントしています。
株式会社プレイド(4165)の事業概要
引用元:「新規上場申請のための有価証券報告書」
前述したように、株式会社プレイドの事業はSaaS事業「KARTE」のみです。以降ではその「KARTE」がどのようなものか理解していきましょう。
顧客情報をリアルタイムに解析しワンストップでOnetoOneマーケティングを実現するSaaS
少し長い見出し名になってしまいましたが、株式会社プレイドは「新規上場申請のための有価証券報告書」でこのように自社サービス「KARTE」を紹介しています。
KARTEは、Webサイトやアプリにおける顧客の行動データを1人ずつ蓄積し、リアルタイムに解析してくれます。さらに、あらかじめ定めたシナリオをもとに顧客に対してポップアップを表示するなどのアクションが可能です。
しかしそれだけでは「ワンストップ」とは言えません。
Web上での顧客と企業のコミュニーケーションには、メールやSMS、チャットなどの方法があります。そこでメール配信システムやチャットシステムなどそれぞれ独立したツールが存在しますが、KARTEではそれらをKARTEのプラットフォームで一元化できるのです。
次に「OnetoOne(1to1)マーケティング」とは、1人1人に最適なコミュニーケーションを行うことです。KARTEは顧客1人1人のデータを個別に蓄積しているため、1人1人に最適なコミュニーケーションを実行できます。
極めつけはKARTEを活用したマーケティング施策の実行が、KARTE担当者1人でも可能というポイントです。なぜなら、KARTEの開発運用は株式会社プレイドが行うため、利用する企業はエンジニアやデザイナーが不要だからです。
これにより、デジタル人材不足に悩まされている多くの企業が助かるはずです。
KARTEの料金体系はサブスクリプションモデルを採用
KARTEは原則12ヶ月契約で、料金体系は月額課金型(サブスクリプションモデル)を採用しています。
月額課金額がいくらかというと、KARTE導入事業者のWebサイトやアプリのMAU数(月間アクティブユーザー数)と、レコード総数、さらに加入オプションに応じて見積額が提示される形です。
なお初期費用として「サポート・トレーニングプログラム」の費用が加算されます。
サブスクリプションモデルは株式会社プレイドにとって、毎月安定した収入が見込めます。一方で導入事業者数が少ない場合は収入が見込めないデメリットがありますが、KARTEは2020年9月期に474社/10.7億円ほどの売上高を計上しています。
株式会社プレイド(4165)の将来性は?
ここからは、KARTEを提供する株式会社プレイドの将来性を考えていきましょう。総合的な判断としては、将来性・成長性には大きな期待が見込めます。
その理由は次の3点です。順に解説していきます。
- DX推進やデジタル人材を推進・解決するソリューションとして高ニーズ
- 大手有名企業と多数良好な関係を築いており収益基盤は安定
- 参入するSaaS市場は成長している
DX推進やデジタル人材を推進・解決するソリューションとして高ニーズ
中小企業庁関係者がKARTE導入に際して「DX推進の一環」とコメントしているように、多くの企業がDX推進を課題として認識しています。
なおデジタル人材の不足は深刻な問題であり、「DIME」の調査結果によると過半数がデジタルマーケティングを推進したいがマーケター人材不足に悩まされているという結果が出ています。
参考:企業の約半数がマーケッターの人材不足を実感、その背景にある2つの問題|DIME
このような環境下において、KARTEはDX推進・デジタル人材不足を解決するソリューションとして、ニーズは非常に高いと考えられます。
大手有名企業と多数良好な関係を築いており収益基盤は安定
画像のとおり、株式会社プレイドが提供するKARTEは大手有名企業に多く導入されており、サブスクリプションモデルと相まって収益基盤は安定しています。
また「新規上場申請のための有価証券報告書」によると売掛金の内訳は以下のとおりです。
参入するSaaS市場は成長している
株式会社プレイドがKARTEのリリースにより参入しているSaaS市場の規模は、年平均成長率約13%の勢いで成長しており、2024年には1兆円を超える規模になると推定されています。
参考:『SaaS業界レポート2020』公開|PR TIMES
市場拡大に伴い、株式会社プレイドの「KARTE」がどれだけシェアを獲得・成長できるかに期待です。
株式会社プレイド(4165)の投資リスクは?
ポジティブ要素が多い株式会社プレイドですが、投資するにあたってリスクはあるのでしょうか。考えられる投資リスクを挙げてみます。
- 単一セグメントでありSaaS事業に依存していることが懸念点
- 今後のシェア獲得(価格)競争に勝てるかどうか
なお「新規上場申請のための有価証券報告書」で事業リスクなどは記載されていますが、基本的には一般的にどの企業でも記載されるリスクであり、株式会社プレイド特有の目立ったリスクは見受けられませんでした。
単一セグメントでありSaaS事業に依存していることが懸念点
複数のセグメントを持って事業を多角化している企業も少なくありませんが、株式会社プレイドはSaaS事業に依存してしまっています。
つまりKARTEが不調になってしまったら会社業績ごと落ちてしまうのです。
とはいえ、SaaS市場は拡大し続けていますし、KARTEは競合の少ないCXプラットフォームであるため、実際はあまり心配するところではないかもしれません。
今後のシェア獲得(価格)競争に勝てるかどうか
直近のリスクではありませんが、今後は類似サービスで市場参入してくる競合とのシェア獲得競争が想定されます。
後発企業は先発企業よりも低価格を訴求することが一般的であるため、株式会社プレイドにとってはブランド価値向上もしくは価格低下に耐えられるかが課題になるでしょう。
まとめ
株式会社プレイドは拡大を続けるSaaS市場に参入しており、独自のCXプラットフォーム「KARTE」で大手有名企業などを取引先としながら、サブスクリプションモデルで安定した収益基盤を確立しています。
しかし単一セグメントであるため、今後の事業の多角化や後発企業の状況には注視しておくべきでしょう。